ついにコンテスト本番!緊張感が観ているこっちにも伝わってくる。
緊張している久美子にかけたみどりの言葉「失敗しないように、じゃなく私たちの演奏を見せつけてやるって思えばいいんです」にはすごく納得した。
5話でのマーチングバンドの時に、滝先生が同じような事を言っていたなぁ。原作者の持論なのかなと思った。
マーチングのシーンはめっちゃお気に入り。かっこいいのよ、このシーン。曲の「ライディーン」はどんな曲なのか調べてみたらYMOの曲だったのか!YMOってデジタル音っぽい印象だから、ブラスバンドのようなクラッシックな楽器で演奏するというのが意外だった。でもさすがにメロディーがすごくよくて、ブラバンでの演奏は原曲よりもかっこいいんじゃないかってくらいいい仕上がりだった。
いざ出発って時にみんながオロオロしている中、麗奈が一発吹いてみんなを落ち着かせるシーンはキャラが良く出ていて爽快で好きだなぁ。
マーチングの衣装も動きもよくてこの5話は全体を通してみてもお気に入りの回です。
さて今回の13話。会場入りしてから演奏にたっぷり時間を割いていた。最終回だからと各々のドラマを見せるというよりとにかく演奏を見せる!という感じ。セリフも少なくて仕草やアクションでキャラの感情を表現していた。
コンテストのメンバーに漏れてしまった部員がイニシャル入りのお守りを作ってくれたり、演奏している楽譜一面に色ペンで「全国」って書かれていたり、みんなのキリッとした顔つきやあの滝先生の自信に満ちた表情で、この人たちは本気で全国に行きたいんだ、このコンテストに賭けてるんだっていうのが伝わってきた。
今さらだけど、本当に作画がすごい。金管楽器は複雑な形をしているし光沢や映り込みの表現に手間がかかるし、部員が何十人もいて一人ひとりきちんとキャラづくりされて描かれているし、さらにそれが動くんだから何重にも大変なはず。やばい。こんなものすごい画面をクオリティを維持して最後まで描ききる京アニの力の厚さに圧巻です。
テレビアニメでここまですごいとは…何十年後かにオーパーツ扱いされそうなレベル、なんて勝手に思ってしまいます。
気になったところは、せっかくの演奏が途切れてしまったシーンがあるところ。久美子の、他の学校の友達が演奏前で緊張しているシーンが流れて演奏が途切れたのが2回あった。大事なシーンなのかな?と思ったけど、最後まで観てもそこまで重要かな?これだけ演奏を前面に出しているのならそのまま演奏流しっぱなしでよかったんじゃないかなと思った。
それと、割とあっさりだった気がする。コンテストで一生懸命演奏して、結果は…金賞だ!やったー!!とすんなりとしたストーリー運びだった印象。
この演奏にかける久美子や麗奈の想いとかセリフで語ったり、ピンチで苦しい場面とかあったり、でも絶対に演りきってやるという強い気持ちを見せたりしてくれたらもっと盛り上がったと思う。
13話にかけて積み重ねてきたキャラクターの感情やエピソードは本当にしっかりした重みがあるから、それがむくわれるだけの最終回だったかっていうと少し物足りなかったかなというのが正直な印象です。
比較対象として思い出してしまうのが「TARI TARI」。この作品は最初から逆境だらけの作品で、声楽部顧問の教頭先生から「諦めなさい」と言われたり、大人数の声楽部に対して主人公和奏の所属するたった5人の合唱部はぞんざいな扱いを受けたり、紗羽は競馬騎手の夢を持っているが親は大反対するし、最後は文化祭で合唱を披露する事を許可されるも学校は廃校決定、当日は雨が降って理事長の悪質な制止を受けて…とピンチの連続。
でも、そのひとつひとつに正面から立ち向かって熱意と根性で状況を打開して、いつの間にか反対していた人達が応援してくれていて…と観ていてすごい感情を揺さぶられる。
PA-worksの「花咲くいろは」「SHIROBAKO」もやはり同じような感動があった。このスタジオはそういうドラマづくりの面で視聴者をすごく楽しませてくれる。
それと比べて、今回13話の最終回は淡々としていて味気なかったかなと思う。「CLANNAD」で最大級の感動を与えてくれた石原立也監督なので期待が大きかっただけにちょっと残念。
ぜひ次回は、どんな表現にせよ心にズドンと突き刺さる作品を届けて欲しいと願っています。
余談:好きなキャラ
麗奈 トランペットの実力、自信、上を目指す向上心、そのストイックさが魅力です。「自分は特別」「滝先生を愛している」とズバッと言い切る、普通の人とちょっとズレたとこもいいなぁと思います。しかし久美子にも愛の告白をするし、見た目も似ているので時々ほむほむやんって突っ込みたくなりました(笑)
あすか先輩 なんかやたら妖艶なんだよなぁ。副部長でしっかり者で要領よくて頼りになる先輩って感じだけど、腹の中は何考えてるか分からないダークな部分を匂わせる。麗奈と香織先輩のどっちがトランペットのソロを吹くかめぐる件について久美子からどっちが適任か尋ねられた時のセリフ「心の底からどうでもいいよ、そんなくだらない事」はゾクッとするけど独特な魅力を感じるシーンだった。
漫画家の上山道郎先生がtwitterであげてたイラストがあすか先輩らしいエロさが出ててお気に入り。
中川先輩 無気力でそっけない人なのかなーという印象だったけど、まわりをよく見ていて人の気持ちを考えてくれているいい人だと思う。中川先輩らしい、肩の力が抜けてる感じ、嫌いじゃないなー。最終回も何気に出番が多くて優遇されていたと思う。
後藤 1話で登場して一目見てこいつかっこええやんと思った。活躍に期待!と思ったけどあんまりキャラ掘り下げるとこがなかった…。絵としてはちょくちょく出てくれてたんだけどね…。
こうしてみると、学校で新しいクラスになってクラスメイトの事がだんだん分かってくる疑似体験みたいな感じだ。こんな気持ちにさせてくれるほどひとりひとりのキャラクターをしっかり丁寧に描いているんだもんな。本当にすごいや。