9.11.2015

スァーッ…


ネームが描けました。
アイデアが出るまでがなかなか苦しいけれど。
それを見つけ出しさえすればあとは体力・集中力勝負。
ゆっくりでも少しずつでも歩む事が大事だなと。毎回思い知らされます。


9.06.2015

やるべき事

昨日は、仕事で頼まれた絵をひととおり描きました。
なので観たかった「バケモノの子」を観に行きました。

それで今日。図書館に予約していた本を借りに行き、
帰ってから靴を洗って、故障していたロードバイクを分解して、もう一台の自転車のメンテをしました。

それから、いろいろパーツをああしようこうしようと妄想・ネット徘徊して半日過ごしてしまいました…。自転車をいじったから興味がそっちの方向に向いてしまうかもと少し思ったら、やっぱりそうなってしまった。

自分の場合は、そういう興味の方向はムリヤリでも押さえつけた方がいい。そうでもしないとまた無駄な時間をダラダラ過ごすハメになる。

今はネームだ。机に向かい続けてもがくんだ。それを何よりも優先しよう。

9.02.2015

熱量

脱稿した翌日、用事で隣の市に行きました。
その帰り、「進撃の巨人展」を観るべく美術館に行ったのですが、役員に尋ねると

「昨日終わったよ。」

なぁぁぁぁ!!?なんでや、8月いっぱいしてると思ったのにぃぃぃ
キリよく夏休み中の今月31日までするやろ!なんでピッタリ終わった日に来るんやぁぁぁ!!
原稿に集中していて、展示期間をちゃんと把握していなかったのが悪いんですが…。キリがついてから行こうと思ってたんだよぉ…。

「3階の展示は3階でチケット販売してます」
「え?そうなんですか。展示って…この『描く!マンガ展』というものですか?」
「ええ、今日もやってますのでよかったらどうぞ」

お目当ての「進撃の巨人展」は観れなかったけれど、こちらも充分おもしろそう!

入ってみると…

すげぇぇぇぇぇ!!!

手塚治虫
石ノ森章太郎
藤子不二雄A
さいとう・たかを
竹宮恵子
諸星大二郎
島本和彦
平野耕太
あずまきよひこ
PECH PIT

などなど…超大御所漫画家の生原稿、複製原稿をたっぷりと贅沢に展示されていた。
もうこりゃどっしりと腰を据えて観る…入った瞬間に思いました。

島本和彦先生の「アオイホノオ」の原稿は描線が力強く、黒と白のコントラストがくっきりしていてきれいでした。ザクッ、ザクッとGペンの感触が伝わってきそうな。1ページ、1コマをひとつずつ堪能しようとしたんだけれど、ついつい読み進めちゃって普通に漫画を読んでました(笑)。やはりおもしろいし読みやすいです。
「吼えよ!ペン」で、女性アシスタントが一生懸命に描いた見開きの緻密な背景画に、炎尾先生がホワイトをぶちまけて台無しにする、あのページが展示されていました。
本当に描いてました!生でした!青鉛筆の下描き、ペン入れの墨、スクリーントーン、その上に盛大にホワイトをぶちまけて。
すごい…これ、一歩間違えればリアルで漫画と同じ状況になってたんじゃないか…。島本先生の熱意を感じる。
そしてカラー原画がきれい!カラーインクか水彩で描かれていると思うんだけど、発色の鮮やかさ、にじみの美しさ…誌面で見るより何倍もきれいでした。

平野耕太先生「ドリフターズ」「ヘルシング」の原稿は、独自のセンスが滲み出ていました。
1ページまるまる使った原稿が多く、それぞれがイラストのよう。ギトッとした鋭い感じ、画面に占める黒が多くメリハリの効いた絵、独特のポーズや動き…。特に表情に目を奪われる。見ただけで「このキャラただものじゃねーな」と感じる。自分の知らなかった「カッコイイ」がそこにありました。

竹宮恵子先生は「地球へ…」の、単行本カバーのカラー原画が貼られていて大迫力でした。なぜかポスターサイズくらいの特大サイズで、しっかりと絵具で描かれた美しい絵に圧倒です。しかも大きいと美術館によく映える。
小学生の頃に鉛筆でノートに描かれた漫画が展示されていて、すごくお達者で驚きました。クラスの本棚で先生の漫画が連載されていて、かなりの数だったそうです。きっとストーリーが次から次へと沸いてくるのでしょう。作品によって様々な世界観があって、スケールの大きさを感じます。

あずまきよひこ先生は几帳面で整理された絵でした。
設定画とか、まるでアニメの設定画みたい。ピシっと整った1本の線。「よつばと!」の原稿が展示されていて、デッサンの確かさではこの錚々たる作家の中でも特に印象的でした。
背景もしっかり描かれていて、その資料は写真のみならず現物まで。ホットケーキを作る回の資料である調理器具や材料などが展示されていました。
背景はトーンをあまり使わず、ペンの斜線できっちり表現していて、よくこんな事ができるなぁと驚きでした。確かなデッサンの中に雰囲気と空気、味を感じます。

諸星大二郎先生は、絵がうまい!
1ページに10コマくらいあったりするんだけれど、ひとコマひとコマがまるで映画のワンシーンみたい。それだけ構図がしっかりしている。人物だけでなく、家屋や林などの描写に目を見張ります。
宮崎駿監督の漫画の絵を思い出しました。宮崎監督は諸星先生の漫画を読んでいるとどこかで見かけた事があるし、漫画の描き方に影響を受けているところがあると思う。
民族とか宗教、文化を感じさせる作品が多く、世界に深みを感じます。

手塚治虫先生は、「ブラック・ジャック」の複製原画や、子どもの頃に描かれた自作の肉筆本が展示されていました。
「ブラック・ジャック」は描線から筆が走っているのを感じます。
「なに!?一家心中!?よし、それを待っていたんだ。すぐに遺体を運べ!」
ショッキングな言葉。なんて不謹慎なことを言うんだ。でも、彼の眼光からは絶対に何か目的があって、誰かを救おうとしている意思を強く感じる。この言動にも理由があるはず。
このシーンの数コマだけでそれが分かる。ブラック・ジャックのキャラクターの魅力をビリビリ感じます。

藤子不二雄A先生の原画は数点だけだったのですが、「まんが道」のカラー原画があってうれしかったです!「まんが道」はだんだん背景がリアルになってくるんだけど、原画はそうなり始めた頃の絵で、でもカラーの色使いは児童漫画らしい原色を主に使ったものでした。
「まんが道」、何度も読んだなぁ…。僕の中学1年生の頃、クリスマスプレゼントに「まんが道」全巻を頼みました。心をふつふつと沸き立たせてくれる、とても大事な作品です。

さいとう・たかを先生の原画は、もうすばらしい!これだ!これだよ!
人物も背景も表情もアングルも上質なリアリティを感じる。画面が心地いい。そしてかっこいい。
展示されていた「無用ノ助」の原画。時代劇だけど背景、衣装、小道具、人の生活、そういうものがしっかりしているからフィクションを感じさせずまるで映画を観るように作品に入り込める。
殺陣シーンでは、力強く、美しい絵がいっそう際立つ。何ページにも渡って見開きがずっと続くシーンは特にいいなぁと思った。
「ゴルゴ13」でゴルゴが使う銃のレプリカが展示されていた。1m以上あって黒々として大きい。
そして原画を見ると、ゴルゴが銃撃戦の中、銃を片手で掴んだままひょいと壁を飛び越えるシーンが。え?まるでペットボトルか何かを掴むように軽く持ってる。銃が小さく見える。その後に展示している銃を見返すと、まるでそこにゴルゴがいるかのように具体的な像が見えた。大きくてでがっしりした筋肉質な体。銃ひとつでここまで量感を感じさせるとは。リアリティがすごいです。

このマンガ展の中にいて、なんだか胸がつまって涙がこみあげてきました。原稿に宿った熱量。先人が積み重ねてきた歴史。そして今も多くの漫画家が心血注いで作品を生み出しているんだと。そういう事を感じて。

出口付近に、ご自由にお描きください、と液タブのcinticq22が2台設置されていました。
これだけ多くの作家の原画にふれて、刺激や感動をたくさん受けてなにか吐き出したい気持ち。何描こう。分からない。とりあえずペンを走らす。グリグリと。シルエットができてきた。あ、なんか見えてきた。描き進める。
それにしても、使えるのがペンのみで拡大縮小とかショートカットが使えない。左手デバイスがないのがこんなに不便とは。つながれてるノートパソコンのキーボード使ってもいいですかと聞いたらペンのみのご使用となりますとの事。仕方ないからこのまま描く。やはり不便だが少しずつ慣れてきた。
最近は原稿を描いていて手があったまっているからペンが走ってくれた。線画ができて下塗りしてカゲを入れ出していると閉館時間のアナウンスが。あぁ、せめてあと少しだけ。最低限の仕上げをして、マンガ展への感謝のメッセージを添えて席を立ちました。
役員さんは渋い顔していたけど。2時間くらい描き続けていたし、閉館時間きても粘っていたし。
すみません。ありがとうございました。

「ユキとケイトのスケートボード」を脱稿できて、マンガ展を観れて。いい夏のしめくくりができました。